内装工事

プロ顔負けのクロス施工!
[VOL.4 施工編②〜クロス貼り準備編]

今回は実際にクロスを貼る為の準備や道具をまとめました。使用する素材のことをよく理解し万全な状態でクロスに挑みましょう。
前回の『プロ顔負けのクロス施工!VOL.4 施工編①〜クロス糊の練り方]』をご覧いただいてない方はこちらもご一読ください。

Contents

今さら聞けない!クロスって布?

塩ビクロスがほとんど

一般的に壁紙を総称して「クロス」と呼びますが、英表記は「cloth」。直訳すると「布」ですね。確かに布製の物も存在してはいますが、現在ではほとんどが塩ビ(塩化ビニル)。生産コストが安価だったり、施工後の汚れの落としやすさ等、総合的にメリットが多いため業界のエースにのし上がったのでしょう。材質は塩ビに変わりましたが業界的に「クロス」という呼び名はそのまま定着したようです。諸説ありますけどね。

1000番って1,000円だから

クロスには大きく分けて2種類あり、「量産品」と「1000番」と呼ばれています。各クロスの特徴をまとめるとこんな感じ。

量産品量産タイプや普及品などとも呼ばれる、超一般的な壁紙です。量産タイプと言っても、各メーカーのサンプルブックは百科事典並みの厚さがあり、柄や色もかなり選ぶことができます。材質が悪いという事ではなく、人気があるため大量生産できるので低価格で提供できるという事ですね。
1000番量産品と比べ上質なものが多く、材質も薄めで下地を拾いやすいため職人の腕が問われます。量産品との一番の違いはその「機能」にあり、汚れ防止・吸放湿・表面強化・消臭などの生活を豊かにする機能を持つものも多いのが特徴です。因みにメーカーの販売価格が1,000円/1mだから「1000番」と呼ばれています。

いろいろなクロス

一言でクロスと言ってもさまざまパータンがあり、そのパターンの中でも沢山の柄、色が用意されています。それが各メーカーで微妙に違うラインナップを持っているのでその数は膨大ですね。ここでは、大カテゴリー的にクロスのパターンを紹介します。

◯織物調
文字通り織物のようなパターンのクロス。個人的には一番好き。下地を拾いやすいので丁寧な下地処理が肝要になります。


<出典:リリカラwebカタログ>

◯塗り壁調
漆喰壁のハケ目などがあしらわれたタイプ。量産品にも多数のラインナップがあり、厚みもあるため下地を拾いにくく、ジョイントも決まり易い。新規施工ではなく2回目の張り替え等の場合はこのパターンを選ぶと安全。


<出典:リリカラwebカタログ>

◯石目調
大理石などの石目模様が印刷されたモノ。薄手のものが多く職人泣かせ。量産品にもあるが、数が少なく1000番の方に多くラインナップされています。


<出典:リリカラwebカタログ>

◯和調
落ち着いた色合いが多く、聚楽や杉の板目など和室の壁や天井に使う。表面が固くジョイントしにく場合もあるので注意!


<出典:リリカラwebカタログ>

◯柄物
子供部屋のイラストものや、花柄、雲模様など多様な柄があります。パターンを合わせて貼る必要がある為クロスに無駄が沢山出る。使う場合は1.2倍〜1.4倍程度の使用量を見越して下さい。


<出典:リリカラwebカタログ>

ホームセンターで糊付きクロスを買うときは?

多くのホームセンターのサービスで「クロス糊付けサービス」があります。概ねそのお店で購入したクロスに限られると思いますが、セルフリノバーには嬉しいサービスですね。
糊付けサービスを利用するにあたり注意したいことが幾つかあるのでアドバイス。

必要メーター数の計算

ホームセンターで糊付けしてもらう際に「243cmが10本、74cmが6本・・」のようにcm単位で注文する事ができます。正確にカットされたクロスは施工する際も余りが邪魔にならずキレイに仕上げやすいモノ。事前に貼りたい壁面を計測する必要があるのですが、こんなところに注意しましょう。

◯クロスの幅は訳90cm強
「施工面の幅が5mだから5本!」だと足りません。クロスの幅はスリッターでカットして91cm〜93cm位。このサイズには意味があり、現在の建築は尺貫法(尺貫法に関してはコチラを参照)が多く用いられており、柱芯間で910mmの倍数になっていることが多い。壁の厚み分があるので実際のクロス施工面は900mmの倍数より少し短くなっている事が多いのです。クロスも約900mmにすることで無駄を省くことが可能となる訳です。

◯長さはプラス5cm程度で
クロスを貼る際に殆ど場合上から貼る訳ですが、真っ直ぐに見える天井も実際は多少の歪みがある事も多く、そのままクロスの上端を天井に突きつけて貼り始めると曲がりが出てしまう事に。特にリノベーションの現場ではそのズレが顕著に現れます。上下に少しゆとりを持たせることでクロスを垂直に貼り進めることが可能となります。

スリッターって何?
クロスの両耳はパターンなどが印刷されていない部分があり端まで全てを使うことが出来ません。その余分な部分を糊付けの時に一緒にカットしてくれるのがスリッターなるマシンです。ある程度の幅の調整が可能ですが、概ね91cm〜93cmでセットすることが多い。

柄物クロスのパターン間隔に注意!

子供部屋やアクセントウォールなどでよく使用する柄物クロス。気をつけなくてはならないのがパターン間隔です。一定の間隔で絵柄がリピートするように印刷されているので、そのリピート分を加味して長さを算出しないと、柄を合わせた時に長さが足りなくなります。柄物クロスを糊付けする時はスリッターはNGですよ!耳の部分にリピートのマークが印刷されているので、耳がなくなるとパターン合わせが死ぬほど大変になります。

柄物クロスの長さ算出法
(例)CH=2.4m 壁幅=3.5m リピート間隔=38cm
◯必要リピート回数:2.4m+余剰分5cm/38cm=7回(小数点切り上げ)
◯必要長さ:7回 x 38cm=266cm
◯必要本数:3.5m(壁幅)/90cm(クロス幅)=4本(小数点切り上げ)

上記の柄物クロスの場合、ホームセンターで
「266cmで4本、カットテープと下敷きテープ付きで糊付けして下さい」
この様に注文すればOKです!

カットテープと下敷きテープを指示

ホープセンターで購入&糊付けサービスをお願いする際に、オプションでカットテープと下敷きテープを付けてもらいましょう。基本ジョイントで貼ることを前提にしているのでこの両テープは不可欠です。
ジョイントの方法は後の章で詳しく解説しますが、ここでは各テープの働きに付いて解説します。

◯カットテープ
クロスの右側に仕込みます。ジョイントする際に上に重ねる部分です。先に貼ったクロスに余分な糊を付けない働きがあります。

◯下敷きテープ
クロスの左側に仕込みます。ジョイントする際に下に入る部分です。切れにくい素材で作られており、ジョイントする際に下地までカッターが入らないようにする働きがあります。

クロスパックに入れてもらおう

生糊はすぐには乾燥しないのでしばらくは施工可能なのですが、何らかのアクシデントで当日施工できない場合も考えられます。安心のためにもクロスパックを購入して入れてもらう事をオススメします。その時に水を含ませた雑巾などをクロスの両端に一緒に入れると更に安心デス!

糊厚オプションは厚めで指示

糊の厚みを指示できるオプションがある場合は、1段階厚めにしておくと良いでしょう。糊を厚めにしておくと、クロスを置いてからズリズリ滑らせることが出来るので、貼り始めのポジショニングがやり易くなります。乾燥までの時間も伸びますしね!

クロス職人の腰道具

私愛用の道具を紹介しまーす

職人さんによって好みは分かれると思いますが、私の場合はここ数年は安定してこの道具を使用しているので私の手に合っているのでしょう。


①撫でバケ:なるべく毛足の短いものの方が力が逃げずに良い。自分で切ったりもしてた。
②地ベラ:7寸程度が使い易くて好きデス。
③圧着ローラー:メーカーによって硬さが結構違う。コレはやわらか目。
④カッター各種:通常使用の0.25mmとジョイント用の0.2mmを使い分けます。
⑤ハサミ:巾断ちするする時によく使います。



あれば便利な道具

みんな使っている訳ではありませんが、あればとっても便利な道具等。

◯TUTU
撫でる部分が「超高分子量PE」なるもので出来てるらしい。やたら滑りが良い。コレは一度使ったらヤメラレナイ。ただし、撫でるときに音がデカイ。

◯カッティー(写真下)&武蔵(写真上)
ブレードを押し付けて傾けるとカッターの刃がチョロっと出てきて片手でクロスの余剰部分をカット出来る。言うなれば「地ベラ+カッター合体マシン」。カッティーはその小ささが良く、クローゼットの狭い場所など、両腕が入らない場所でも「しぱーっ」と切れて調子良い。武蔵はちょっとデカイけど名前がかっちょ良い。


◯ゼロカッター ポキット
クロス施工に関してカッターの刃は超消耗品。ジョイント1回毎にポキポキ折ります。そんな時にコレがあると折った刃が散らばらなくて便利です。安全面でもオススメのアイテムです。

次回はクロスを貼る上での道具や準備を紹介&解説して行きます。
[VOL.4 施工編③〜クロスの貼り方]をお楽しみに!

今回の廃材で物置をビルド![VOL.4 施工編②〜クロス貼り準備編]はいかがでしたでしょうか?当サイト「セルフリノベの虎の巻」には本記事以外にもセルフリノベに関するアイデアや施工方法の解説など便利な情報を公開しておりますので、ご興味のある方は是非ご一読ください!

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