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見切りスタートで失敗する!?セルフリノべ VOL.2理想の間取りの図面を描く

こんにちは!ライターの伊藤です。今回は「見切りスタートで失敗する!?セルフリノべ VOL.2理想の間取りの図面を描く」と題しまして、実際の間取り図面の書き方と、ポイントをレクチャー致します。

前章をご覧になっていない方は「見切りスタートで失敗する!?セルフリノべVOL.1」をご覧ください。

Contents

間取り図は手書きで十分!描くことでイメージを膨らまそう。

先ずは現状の間取り図を描く。

新築当時の間取り図面があるならば苦労はないのですが、建築図面というのは内装仕上げ工事の図面ではなく構造計算や申請用の図面になるので、ドアや窓の開口寸法、室内寸法などは記載されておりません。
セルフリノベーションで必要な情報は内装の仕上げ寸法なので、新たに室内寸法を採寸して間取り図を作ることをお勧めいたします。

PCの取り扱いに慣れている方は間取り作成ソフトを使うとお手軽にできますが、そうでない場合でも自分で施工するのですから自分が理解できればOKなので手書きでも十分!

採寸はミリ単位で正確に。尺貫法(しゃっかんほう)は気にしない!

尺貫法とは日本固有の長さの単位である「尺」「寸」「分」などを用いた計測方法です。
尺貫法の単位[1尺=10寸=100分](曲尺)

  • 一尺=303mm
  • 一寸=30.3mm
  • 一分=3.03mm

となっております。
詳しくは「尺貫法とメーターモジュールの関係」で説明していますので是非ご一読下さい。

今回は尺貫法は置いといて、全てミリ単位で計測していきます。計測箇所は以下の通り。

間取り図を描くために必要な計測ポイント(各部屋ごと)

  1. 床の縦横サイズと面積
  2. 天井高(CH:シーリングハイ)
  3. 窓のサイズ(縦×横)
  4. 窓の位置と形状(FL:フロアレベルからの高さ)
  5. 建具(ドアや襖)のサイズ(縦×横)
  6. 壁面に対する建具の位置(壁のどの位置にあるのか)

以上のサイズがわかれば間取り図を描く事ができます。

耐力柱の位置がわかるとさらにリノベの幅が広がります。

耐力柱とは家を支える上で構造上必要な柱のことで、原則的に撤去できない柱のことです。リノベーションは基本的にこの柱を残してプランしていきますので、耐力柱の位置が分かるとプランの幅が広がります。

耐力柱は新築時の図面にも記載されていますので、図面がある方はご確認を。「図面なんてなくしたし。」という方は「部屋の四隅には耐力柱がある」と仮定してプランを進めましょう。また上記は在来工法の場合。パネル工法は壁全体が耐力なので、大きな間取りチェンジができないことが多いのでハウスメーカーさんに問い合わせてください。
また、マンションは界壁以外に耐力壁がないので部屋の壁を全て撤去してスケルトンにしてから間取りの再構築をする事ができますのでデザインの幅が広がります。もちろん組合の規約や契約状況にもよりますので要確認です。

実際の図面を見てみよう。

図面のビフォア&アフターをご紹介

ここでは以前私が手がけたリノベ工事の施工前と施工後の図面をご覧ください。
ちなみにリノベーション前の図面はお客さまがパソコンで作成したもので施工後図面ははその図面をもとに私が製作しました。

変更ポイント

この案件は築40年の木造在来建築の平家。オーナーのリクエストは「和室ベースの昭和チックな間取りを今どきの感じで頼む。」とのことでしたので、ほばスケルトンまで解体してからリノベーションしました。

[変更ポイント]

  1. 間取りを4DKから2LDKへ
  2. エントランスの拡大
  3. 通路の拡張
  4. トイレの拡大
  5. キッチンエリアの拡大、導線変更
  6. 建具類の総入れ替え
  7. 玄関ドアを両引きからハイドア(ID認証リモコンドア)へ
  8. サッシ類の総入れ替え(防犯サッシへ交換)
  9. 耐震補強金具の追加

リノベで気を付けたいポイントはズバリ耐震補強と防犯性の確保。
昭和50年代の建物は宮城県沖地震前と後で建築の基準が変更されていて、地震後の建物は強固に造られているので心配無用ですが、地震前ですと耐震性が著しく低い建物が多いのです。
せっかくリノベするなら補強金具や柱を追加し安全性を高めておきたいものです。

また、昭和の平家はノンセキュリティーな掃き出し窓や玄関引き戸が多く、泥棒の格好の餌食!不必要な掃き出し窓は腰高窓に、玄関両引扉はセキュリティー性の高い玄関ドアを採用するなど防犯性も高めておきたいところですね。

上手な間取りレイアウトとは。

今の生活に合わせて間取りを整理する

どんなにかっこいい部屋でも現在のライフスタイルに合わなければ疲れちゃいますね。せっかくリノベするならとことん快適生活にチェンジしましょう。
まず一番は「今の間取りの不満点を解消する」ことから。
例えば、「リビングとキッチンと寝室しか使ってない」「トイレに行くまでドアを何箇所も開けている」「勝手口は使っていない」「朝の洗面所が大渋滞」などなど。
日常的によく使っている部屋、使用頻度が高い場所、物置と化してしまっている部屋、モノで溢れている部屋など、現在の間取りと実生活のギャップで生まれた非効率を解消するようにレイアウトを考えてください。
私の経験上、収納力不足の解消は必ずと言ってよいほどリクエストされます。「こんなにクローゼットが必要?」ってほど収納スペースを設けても良いかもしれません。
年配の方になればなるほど、物が捨てられなくなる傾向にあるようですね。

図面に家具を配置してみる

せっかくリノベが完成してもお気に入りの家具が配置できなくててはNG。そんな事にならないように事前に家具のサイズを測って図面上に配置してみましょう。
その時に気を付けたいのが、ドアや窓のサイズ。引っ越しと同様にドアや窓から家具を搬入するので、開口寸法が狭いと運び入れる事ができません。
また、片開きドアの開き方向も熟考しないとスペースを無駄にしがち。さらに通路も狭すぎると搬入物を制限してしまうので注意!
お気に入りの家具、家電のサイズは事前に確認しておきましょう!

掃き出し窓は家具レイアウトの敵

掃き出し窓とはベランダや縁側に出る事ができるフロア通しのサッシ窓のことです。換気性や採光性もよく開放的な空間を演出してくれるのですが、その反面、室内壁が少なくなりベッド、勉強机などの壁付家具の居場所を奪ってしまいます。
私は適度に遮光性があり心地よい閉塞感がある部屋が好きなので、掃き出し窓は機能的に必要な箇所にのみ設置しております。

リビングなどのセンター什器が多い部屋は掃き出し窓をチョイス、寝室など壁に寄せたい家具が多い場合は腰高窓を採用すると良いのではないでしょうか!

西の窓は超難しい。

一棟のマンションでも採光面が西側の部屋は南側の部屋より販売価格が安価ですよね。しかもかなりの価格差があります。これはリセールバリュー(売却時の価値)にも相当反映されますので、購入時には注意したいポイントです。

西面採光のデメリット

  1. 眩しい
  2. 暑い
  3. 畳やフローリングの日焼けによる劣化が激しい
  4. カーテン自体も日焼けする

などなどデメリットを並べましたが、夜しか部屋にいない方や西側に高層建造物がある、絶景が眺望できるお宅などは、あまり気にする必要はないかもしれませんね。

リノベーションのデザインでも西側の採光は超難しい!
西面サッシの変更が不可能な場合はガラスフィルムで紫外線を調整する程度ですが、一軒家などでサッシの入れ替えが可能な場合はLowEガラスの縦スリットサッシや高窓で採光を確保できれば十分ではないでしょうか。

今回の「見切りスタートで失敗する!?セルフリノべ VOL.2」いかがでしたでしょうか?次回は「見切りスタートで失敗する!?セルフリノべ VOL.3予算組み重要説」をお送りしますのでご期待ください!

質問・ご相談ございましたらこちらまでお願いいたします。

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