柔らかに仕上げたりクールにまとめたりと居住空間の印象大きく左右する壁紙。プロに依頼すればモチロン間違いなく仕上がるのですが、自由な発想でセルフリノべできれば愛着も激増しすると思いませんか?時間はかかるかもしれませんが完成後には何とも言えない満足感があるはず!
ここではプロの手順を惜しみなく大公開しちゃいます。順を追ってポイントを細かく解説していきますので、是非ともチャレンジしてみて下さい!
まずは下地を知ろう!
用途によって使い分けるいろいろな下地
ここで言う下地とは、実際にクロスを施工する面の材質や状態の事を指します。建設された年代やリノベ前の使用環境、リノベ後の使用目的などにより数種類の下地と接することになります。各々の材質によって処理方法は様々なので、その性質をよく理解してから施工する事が大切です。
ここではリノベーションにあたり想定される下地を細かく解説します。下地をよく理解してより完璧なクロス施工を目指しましょう!
①石膏ボード
石膏ボードとはプラスターボード(以下PB)とも言い、石膏を板状に固めボード原紙で表面保護された材料です。最も一般的で現在の新築住宅の天井・壁面の下地に多く使用されています。PBの中でも数種類のタイプがあり、材質や性格が違うので目的に合わせて使い分けることになります。
プラスターボード | 中でも一番スタンダードな材料で、いわゆる普通の石膏ボードです。適度な断熱性と耐火性を持ち、最も多く使用されています。 |
---|---|
シージングボード | 芯材の石膏と表面に防水加工が施されています。プラスターボードに比べ耐水性が高く、キッチンや脱衣所などの水回りで多く使われております。 |
硬質石膏ボード | 耐衝撃性に優れ、プラスターボードより4倍程度表面が強化されてます。主に通路や腰壁など衝撃の多い箇所や骨組みが弱くなりがちな箇所で使用します。 |
強化ボード | ガラス繊維が含まれており、耐火性が飛躍的に強化されております。商業施設等で耐火基準を設けられている場合などに使用します。セルフリノべでは必需というわけではありませんね。 |
化粧石膏ボード | 表面に木目調やクロス調といった仕上げ加工がされています。仕上げの施工が不要となりますが、固定するビスが見えてしまうのでピッチなども整然と施工する必要があります。納戸内部など普段あまり目につかない場所などで使用することがあります。 |
不燃積層ボード | 表面に難燃性の用紙が使用されており、商業施設など内装制限が掛けられたら建物でも不燃材料として使用できます。こちらもセルフリノベでは必需ではありません。 |
吸音用穴あきボード | 表面に吸音用の穴が開けられており、防音性に優れています。一般住宅では楽器を使用する部屋やシアタールームなどで使用します。 |
こんなに沢山の種類があると迷ってしまうかもしれませんが、セルフリノベでは通常のPBで天井に9.5mm、壁面に12.5mm。予算が許せばお風呂の脱衣所にシージングボードを使用する感じで問題なし!
3 x 6版 | ・サイズ:1820mm x 910mm ・厚み:9.5mm、12.5mm、15mm ・1枚あたり500円前後。 |
---|---|
3 x 8版 | ・サイズ:2420mm x 910mm ・厚み:12.5mm、15mm ・1枚あたり750円前後。 |
上の2種類が(特に3×6版)セルフリノベで多用する事になります。
壁面に厚み12.5mm、天井に9.5mmを使用すれば良いでしょう。3×8版は長辺が2420mmで一般的な壁の高さよりちょっと長く設定されています。一枚で天井まで届くので手間が少ないというメリットがありまが、コストが少し高い事と販売しているホームセンターが限られています。
②木下地
クロスの下地にはPBの他に木製の下地も多くみられます。下地を木製にすることの大きなメリットとして「ビスが効く」という事があります。例えばクローゼットなど後に棚を取り付けたり工作を施す必要がある場合に威力を発揮します。PB用のアンカー等も存在しますが耐荷重が低く重いものには耐えることができまん。その点、木下地はビスがガッチリ効くので安心して工作する事が可能です。
木下地にも様々な種類があります。セルフリノベにてよく使用する物の特徴を解説していきます。
合板って何?
ベニヤとはラワン材を原料に板状に加工した物を言います。合板とはラワンベニヤを繊維方向を直行するように交互に重ね、プレス圧着で板状に加工したものの総称です。ベニヤを重ねる枚数で様々な厚みの製品に仕上げています。「◯◯合板」の◯◯は木の種類を指す事が多いですね。
シナ合板 | 複層に重ねたベニヤの表面仕上げにシナの単板が貼ってある。柔らかく加工性が高い上に表面の凹凸も少ない。クロスの下地にするならコレがおすすめです。 |
---|---|
ラワン合板 | ラワン合板とは文字通りベニヤを複層に重ねプレス圧着した物です。表面に凹凸が多く、クロスの下地に使用する際は入念なパテ処理が必要になります。強度が強いので床下地などに向いています。 |
針葉樹合板 | 構造用合板とも呼ばれ、ラワンよりも軽く丈夫な素材で加工された材料です。ラワン合板よりもコストが安く、ラワン合板ではなく針葉樹合板を使用する事が多くなっています。ラワン合板同様、表面に凹凸が多いので床下地などに向いてます。 |
◯セルフリノべで使用する規格とホームセンターの価格帯
・シナ合板:1820mm x 910mm 厚み12mm 4,000円前後
・ラワン合板:1820mm x 910mm 厚み12mm 2,500円前後
・針葉樹合板:1820mm x 910mm 厚み12mm 1,700円前後
③和室ベースの下地
リノベーションで多くリクエストされる工事で「和室の洋室化」があります。最近の和室ではクロス仕上げの場合も多いのですが、昭和時代に建てられた住宅では砂壁仕上げや聚楽仕上げが多く使用されていました。現在でも純日本家屋やお茶や着付けの教室など、和の文化が色濃く継承される建物ではこの工法を使用することもあります。
ここでは、和室ベースの下地についての性質や特徴。デメリットなどをお話していきます。
◯砂壁とは
砂壁の構成は砂と天然砂や砕石、貝殻や金属粉などを接着剤で固め、モルタルや合板に塗り上げて仕上げる壁面で、調湿性に優れカビにも強く防火性能も高い仕上げです。反面デメリットも多く、触れた際に砂が落ちやすくメンテナンスに手間がかかるという面も。施工費用も高めで工期も長めに設定されます。
◯聚楽壁
土を原料に素朴で温かな雰囲気の壁面に仕上がります。土に混ぜる染料を変えることで、多彩なカラーバリエーションがあります。脱臭性や耐火性も高く優れた素材と言えるでしょう。しかしデメリットも多く、左官職人による施工が必須となるため費用が高くなりがちです。水拭きもできないので汚れが付いてしまうとかなりメンドイ事に・・・。重ね塗りで補修することはできますが、調色やムラなどを考えるとやはり職人さんの手を借りることになります。
ここまで、リノベーションをするにあたり多く目にする下地の事をお話しました。これから施工する最終仕上がりに向けて適切な下地選びの参考にしていただければと思います。
次のコンテンツでは、クロス施工をする前の下地に対しての適切な処理方法『プロ顔負けのクロス施工[VOL.2 下地処理編]』ご紹介いたします。