下地の処理が完了したら次はパテ処理。パテの凹凸がヒドいとそのまま仕上がりの表面に出てしまいがちで、パテの出来が最終仕上がりの良し悪しを左右すると言っても過言ではありません。ここからはパテに関して詳細に解説して行きます。パテのことをよく理解してパーフェクトな仕上がりを目指しましょう!
「プロ顔負けのクロス施工。」はシリーズで連載しております。『VOL.2 下地調整編』もぜひご一読ください!
Contents
今さら聞けない!パテって何?
下塗りと上塗り、上下共用パテ。
パテとはクロスを張り込む前の不陸調整や段差を解消するための充填材のことです。一般的には粉末状で販売されており、現場で水と混合して練り上げて使用します。パテにはいくつか種類があり目的により使い分ける事になります。
- 下塗りパテ
最初に使用するのがコレ。ボードの継ぎ目やビス穴、破損部分に充填し平滑になるように打込みます。「下塗り命」という職人さんも多く、仕上がりのキメ手になる作業と言えます。粒子が荒いので下塗り状態だとクロスの粘着力が非常に低く、肉痩せが少ないという特徴あり。 - 上塗りパテ
下塗りパテを打った箇所の全てに重ねて塗ります。粒子がきめ細かくとても滑らかで、クロスとの密着性も高くなってます。「んじゃ最初から上塗りで良くね?」と思うかもしれませんが、上塗りだけだと強烈に痩せます。結局痩せた部分を何度も増し打ちする手間がかかるので下塗りと使い分けることが賢明です。 - 上下共用パテ
上塗りと下塗りの中間程度の粒子具合。下塗りで使用するときは硬めに、上塗りで使用するときは滑らかにと、練り具合で使い分けるパテです。使用するのが一種類で煩わしさは少ないかもですね。個人的なイメージではありますが、下塗りよりは痩せるし上塗り程滑らかではない気がします。あくまで個人的にはですけど。
袋の数字にご用心。
パテの袋には「30・60・90・120・240」などの数字が記載されています。気温や湿度、現場の環境によって誤差はありますが、硬化するまでの概ねの時間の事ですね。単位は「分」。自分のパテスピードとパテを打つ面積に合わせて使い分けるわけですが、パテを練るのは中々にめんどい作業。ついつい多めに練ってしまいがちです。あまり短いタイプを使用すると大半のパテを固めてしまい捨てることに・・泣きたくなりますね。使い切れる量ずつ練れば良いのですが、かといって長すぎてもいつまでも硬化せずに次の作業に移れない。オススメは「120」が良いでしょう。ホームセンターにて販売されているのも概ね「120」タイプです。練るタイミングと硬化するタイミング、そして体が休みたくなるタイミングがちょうど良いい感じで作業できます。
プロは硬化剤。DIYでは練り上げ済み。
前項でもお話ししましたが、私は120タイプを使用しています。実際120って長すぎるのですが、そこで登場するのが硬化剤。一般に硬化剤というと混ぜないと硬化しないイメージがあるですが、ここでいう硬化剤は「硬化促進剤」ですね。バケツから盆に取った際に一振り。硬化時間が半分くらいになります。あまり入れすぎると硬化不良を起こしてしまうので注意が必要です。
面積が少ない場合などは練り上げ済みのパテが便利。缶入りで販売してることが多いのですが、初めからペースト状に練り上げてあるので開けてすぐに使用できます。打つことで硬化が始まるので材料を無駄にしなくて済みますね。デメリットは少しコスト高。
パテ職人の腰道具袋
クロス職人の多くはクロスの貼り込み作業と分けてパテ作業用の腰袋を用意していると思います。パテ作業はペースト状の材料を使用するためどうしても汚れがちなので、ゴミカス厳禁の張り込み作業の道具と一緒に収納したくないんですね。
ここでは、職人さんのパテ用腰袋の中身を紹介します。
パテベラ各種&パテ盆
パタベラは多種多様。材質・硬さ・幅・持ち手の形状などなど・・・。使い手により好みは分かれます。柔らかいヘラは伸びやすいがパテ耳(打ったパテのキワの部分)が切りにくかったり、硬いヘラは伸びがイマイチなど特性は様々。幅で分類することが多く、下地用と仕上げ用と狭所用の3種類。
- 下地用:5寸〜6寸(15cm〜18cm)
- 仕上げ用:8寸〜9寸(24cm〜27cm)
- 狭所用:いわゆる「小ベラ」超小さいヘラが役立つ事がよくあります。
サンダー(サンドペーパー)
下地完了後、上塗り完了後ともに最終的に活躍するのがサンダー(サンドペーパー)です。施工箇所を全体的に研いで表面を整えます。言えば最後にサンダーでキレイに仕上げられるので多少の段差はこだわり過ぎなくても大丈夫です。
よく使う番手は#80〜#100程度。あまり細かすぎるといつまでも段差が解消されずにサンダー地獄で鼻の穴が真っ白になる事に・・・。
その他の基本アイテム
パテ作業に関わらず登場するレギュラーメンバーたち。
- スケール:パテ時にはコーナーテープの長さを測ったりと何かと使います。
- カッター:割れているボードを切り取ったり細かい下地調整に使用。
- はさみ:コーナーテープの切断などに使用。
- +ドライバー:打ち込み不足のビスをねじ込みます。よく使います。
- ウエス:余計なところに付着したり、落としてしまったパテはすぐに拭き取らないと後でめんどい事に。
パテ練りの基本
練り上がり具合で作業性が別物に。
気持ちよくパテ打ちをするには滑らかに練りあげられたパテが必須。ここでは剥いたクロスや捨ててもOKな捨て紙の上での練り方をレクチャーします。
- 捨て紙の上にパテで山を作り中央に窪みを作る。窪みはヘラで大きめに作るのがコツ。
- 窪みに水を少しずつ入れ、内側に崩しながら混ぜ混ぜする。
- 全体的に混ざったらパテベラで伸ばして切る様に練り上げます。
- ダマが無くなるまで丹念に練れば出来上がり!
好みにもよりますが耳たぶ程度の柔らかさが適当とされています。実際のやり方は動画でご覧ください。
※字幕ありでご覧ください。
練りすぎ注意!バケツで固まると地獄・・。
パテを練る際に量が多過ぎたり、何かトラブル発生で長時間放置するとパテはカッチカチに固まってしまいます。固まったパテは他に利用価値ゼロ。捨て紙の上で練った場合は丸めて捨てれば良いのですが、バケツで練った場合はちょっと厄介。ゴムハンマーで周りをポコポコ叩くと概ね剥がれるのですが、思いのほかパテの粘着力は強く底の溝部分などにはまったパテは簡単に落ちてきません。お湯などで根気よく擦るしかないですね。こんな事にならないように気をつけましょう。
便利な道具
パテ練りを効率化する優秀選手。
パテは打つのは楽しいけど練るのはメンドイ!確かに地味に疲れるし腰痛くなるし・・。効率的に練るにはコレが便利です。
- パテプレス(¥50,000前後)
プロの現場ではよく使われます。練り上がりが滑らかで空気の含有量も少ないので痩せにくいパテが仕上がります。材料と水を入れてタイマーを作動されれば勝手にういんういん練ってくれる。一人の現場で打ちながら練る事ができるので効率的に作業できます。
効率はよいはずなのですが、コレ動きを見ちゃうんです。ずっと見てても飽きない動きをしやがります。見過ぎに注意しましょう!
<<出典:極東産業>> - 攪拌機(¥5,000〜¥15,000前後)
攪拌専用のドリル。スピーディーに練り上げ可能。空気の含有量が多くなりがちなので盆に取ってから軽く手練りしないと痩せやすくなる傾向があります。貼り込み時のクロス糊を練る際にも使えるので一台あると便利。
リンク - 電動ドリル用攪拌棒(¥800〜¥2,000)
手持ちの電動ドリルやインパクトドライバーに付けるアタッチメント。なんと言ってもコスト安!ただし羽根部分が華奢なので、まだネタが硬い状態でガツガツ回すと羽が全部取れてただの鉄の棒になっちゃいます。最初はゆっくり回しましょう!
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今回のクロス施工[VOL.3 パテ処理編①]いかがでしたでしょうか?次回は[パテ処理編②]をお届けします。お楽しみに!
当サイト「セルフリノベの虎の巻」には本記事以外にもセルフリノベに関するアイデアや施工方法の解説など便利な情報を公開しておりますので、ご興味のある方は是非ご一読ください!