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カット圧調整で仕上がり激変、作業性も変わります!
カッター先端を指の爪に当てて確認。あとはフィルムにより微調整。
データが出来上がり後は出力するだけですが、プロッタのセッティングを怠るとステッカーの仕上がりが悪くなりますので、注意点をまとめました。出力ボタンを押す前に必ずご確認ください。
イラストレーターのプラグイン(Roland Cut Studio)にもプロッタのセッテイングがあるのですが、ローランドSV-08はエントリーモデルなので、イラレ上では細かい設定(カット圧、カットスピードなど)がグレーアウトしており、設定できないのです。
プロユースの上位機種だとイラレ上でプロッタの詳細設定に加え、メディアに合わせたプリセットを保存できるので便利でなのですが、プロッタ価格が10倍近くになるので、諦めて手作業でがんばりましょう!
[Adobe Illustratorの詳しい機能は以下(Adobeサイト)にてご確認ください!]
今回のレクチャーに必要な環境とスキル
- 前回オリジナルステッカーで究極ステッカーチューン!vol.4プロッタへの出力編をマスターしている方。
- できればイラストレーターの基本操作が出来ていると楽勝。
カッティングプロッタは意外と精密機械です。
1、プロッタの設置場所は水平で前後にスペースが必要
カッティングプロッタの動作は横軸はペンが移動し、縦軸はローラーでメディアを動かしてカットしていきます。その為、プロッタ本体の前後にメディアの長さより長いスペースが必要となります。
さらに、テーブルの上にデスクマットやゴムマットなどの反発力の高い素材が有ると、メディアが引っ掛かりカット原点にズレが生じてしまいますので、作業台の天板は広くて摩擦の少ないダイニングテーブルのような素材をお勧めします。
2、フィルムはセット前にシワや巻きぐせを直してから。
セットするフィルムがシワだらけだったり丸まったままだと、カット中にカッターに巻きついて100%失敗します。特にステッカー用の屋外用フィルムは薄いので、フィルムの保管状態が仕上がりに大きく影響します。
この場合のシワというのはフィルムと裏紙の間に隙間ができている状態のこと。湿度変化や長期間丸めて保管すると、伸ばした時に伸縮率の違いでシワになります。フィルムを保管する際はゆったりと大きく丸めるか、平置きで保管しましょう。(このシワの解消方法は動画で説明します。)
巻きぐせに関しては、広げて重しをかければすぐに解消します。
フィルムの準備が出来たらデータより100mm程度長めにカットします。(プロッタの性質上、前後にメディアを送って縦軸をカットしていくので、ローラーの掛かる分が必要になるから)。説明が下手ですが、一度作動させるとすぐにわかります。
以上に気をつければ、後はプロッタのガイドに合わせてセットすれば大丈夫。
3、カットユニットの調整はメディアに合わせて変える。
カット前の最後の準備はユニットの「刃」の出具合です。これが最も重要なので必ず調整してください。
基本的なセッティングは「フィルムだけが切れて、裏紙が切れてない」という状態を目指します。刃が出過ぎていると裏紙まで切れてバラバラになり、刃が引っ込みすぎているとフィルムのカットが不十分でカス剥きが出来ません。
フィルムはメーカーによって厚みが違うのでカット圧を微調整する事になりますが、基本設定は以下の通りです。
「カットユニットケースの先端(刃が出ている方)を自分の親指の爪に軽く押し当てたときに、微かに爪が削れる程度」
抽象的な表現ですが、これが一番わかりやすい!私も看板屋さんでバイトしてた時に先輩から教えられたのがこの方法。慣れてくると指の腹でも分かるようになりますが、「カットユニットのケースからカッター刃の先端がほんの少し出ているベストな状態」の表現。
カッター出幅の調整はメーカーによって違うので、取扱説明書を確認してください。ちなみに私のカットユニットはサードパーティー製でダブルナットを調整するタイプです。
-手順-
- プロッタはできるだけ水平な場所に設置
- プロッタ本体の前後にカットしたメディアの長さより長いスペースが必要
- 作業台は平滑で広い方がお勧め
- フィルムの巻きぐせを解消する
- フィルムのシワを解消する
- データに合わせてフィルムをカットする。(縦方向は100mm程度長めにカットする事をお勧めします)
- 「カットユニットケースの先端(刃が出ている方)を自分の親指の爪に軽く押し当てたときに、微かに爪が削れる程度」
- あとはプロッタのガイドに合わせてセットすればオッケー!
ここまで出来たらいよいよ「出力ボタンを押してください」カットが始まります!
4、上手に仕上げるためのポイント
「剥き作業」
プロッタのカット作業が終了したら、フィルムの不要部分を除去する「剥き作業」です。この剥き作業ですが、カット圧がベストな時は楽ちんなのですが、カット圧が合ってなかった時は修行になります。この行程でカット圧の調整の大切さを思い知ることでしょう。
細かい部分から除去していくとスムーズに剥くことができます。
まずは基本的な作業環境を整えます。フィルムは暑すぎる・寒すぎるが苦手。暑すぎると糊が柔らかくなりすぎて、不要部分と一緒に使う部分まで粘って着いてきます。逆に寒すぎるとフィルム自体が硬直しブチブチ切れてしまいます。なので、20度〜25度の室内での作業をお勧めします。
さらにカット圧調整をミスってしまった場合の対処方法は以下の通りです。
[カット圧が弱すぎてカットが甘かった場合]
- 剥きにくいけどなんとか剥ける場合は、帯電防止剤でフィルムを拭いてから剥けば、糊切れがよくなり剥きやすくなります。
- あまりにも切れていない場合は諦めてやり直しましょう。
[カット圧が強すぎて裏紙まで切れてしまっている場合]
- 裏紙がバラバラになる程でない場合は、不要部分を剥かずにアプリケーションシートを貼り、対象物に貼ってから不要部分を取り除くと綺麗に仕上がります。
- 裏紙がバラバラになる程切れちゃった場合は、諦めてやり直しましょう。
以上が剥き作業の注意点になります。実際に剥いてみると「カット圧調整」の大切さを実感すると思います。フィルムに合わせたベストなカット圧を見つけることが、綺麗に仕上げるコツとなります。
「アプリケーションフィルムの貼り込み」
フィルムの剥き作業が終わったらアプリケーションシートの貼り込みです。この作業のポイントは「フィルムをしっかり固定したら、大胆に!」
アプリケーションシートの裏紙を半分だけ捲って、しっかり折り目を付けたら右利きの人は右から左へとスキージーを寝かせながらしっかりと貼り込みます。この場合、右から左へとエアーを追い出すように貼っていきます。
アプリケーションフィルムの特性
透明なこのフィルムはマーキングフィルムよりも厚くて硬いのが特徴です。厚くて硬いということはズバリ「貼りやすい」ということです。シワになりにくいのでどんどん練習しましょう!
ポイントとしては
- エアーを逃すように貼るのでスキージーを真ん中から外へ撫でつける。
- 万が一空気が入っても大丈夫!後から針で刺すと空気が抜けます。空気を抜こうと無理に擦るとシワになります。
- アプリケーションシートも巻きぐせを取っておいた方が作業性が上がります。
上図のように空気が入っても気にしません。針で突くと空気は抜くことができます。今回はこのままカッターの先で「プチっ」と抜きました。
この一連の作業も動画で公開しますので、少しお待ちください!
ステッカーのアウトラインをカットすれば完成です。あとは童心に戻って冷蔵庫に貼りまくってください!なんせ無限に生産可能ですから!
プロッタの切れが悪い場合、以下のような原因が考えられるのでチェックしてみてください!
[カッターが切れない時の確認ポイント]
- カットユニットが緩んでいないか確認
- 刃の調整をプラス方向にしてみる
- ゴミやフィルムカスが刃やユニットに巻きついている時は帯電防止剤で掃除してください。
- 刃は消耗品です。刃先は損傷しやすいので注意が必要です。上記を確認しても改善しない場合は、刃を交換してみてください。
- それでも改善しない場合、セットしてるフィルムが「厚すぎる・柔らかすぎる・硬すぎる・薄すぎる」など、対象外のフィルムを使っている。
- 文字や図形が小さすぎたり、パスが細かすぎるなど、カットデータの限界値を超えている。
以上に該当しないのに切れが悪い場合は機械の故障が疑われますので、メーカーに問い合わせてください。
今回で「オリジナルステッカーで究極ステッカーチューン!」シリーズは終了となります。次回は「ステッカーの上手な貼り方のコツ」をお送りいたしますのでお楽しみに!
質問・ご相談ございましたらこちらまでお願いいたします。